オーストラリアの行政制度を分かりやすく解説|連邦・州・カウンシルの役割と日本との違い

オーストラリアで暮らし始めると、「これは連邦政府の手続きなのか、州政府なのか、それともカウンシルなのか」と迷う場面が少なくありません。

ビザや国籍は連邦政府、運転免許証や警察、公立病院は州政府、ごみ収集やペット登録、住宅の増改築許可はカウンシルが担当します。ところが、医療、教育、道路、防災のように、複数の政府が関わる分野もあります。

日本の「国・都道府県・市区町村」と見た目は似ていますが、決定的な違いは、オーストラリアが6州を基礎として成立した連邦国家であることです。州には独自の議会、政府、法律、裁判制度があり、日本の都道府県よりはるかに強い権限を持っています。

一方、カウンシルは日本の市役所や区役所と完全に同じではありません。戸籍、住民票、国民健康保険のような仕事はなく、地域の道路、ごみ、公園、図書館、都市計画、建築許可など、生活環境に密着したサービスが中心です。

この記事では、オーストラリアの連邦政府、州・準州政府、カウンシルの仕組みと役割、税金、選挙、役職名、仕事が重なる分野、日本との違い、生活の中でどこへ問い合わせればよいかまで、具体例を交えて解説します。

オーストラリアの行政制度とは?

オーストラリアにも、日本と同じように国、都道府県、市区町村がありますか?
大きく分けると3段階ですが、州は日本の都道府県より独立性が強く、カウンシルの仕事は日本の市区町村より限定されています。

オーストラリアには、次の3つの行政レベルがあります。

  1. 連邦政府(Federal Government/Australian Government)
  2. 州・準州政府(State and Territory Governments)
  3. 地方自治体・カウンシル(Local Government/Council)

連邦政府はオーストラリア全体に関わる問題、州・準州政府はその州や準州の住民に関わる問題、カウンシルは地域の日常生活に近いサービスを担当するのが基本です。

ただし、役割が完全に分かれているわけではありません。医療、教育、道路、住宅、防災、環境政策などは、連邦、州、カウンシルが資金や実務を分担しています。

行政レベル主な対象代表的な仕事
連邦政府オーストラリア全国国防、外交、移民、国籍、通貨、所得税、社会保障、全国的な通信・郵便制度。
州・準州政府各州・各準州警察、公立病院、公立学校、公共交通、運転免許、車両登録、刑務所、救急サービス。
カウンシル市、地域、シャイアごみ、地域道路、公園、図書館、駐車、ペット登録、都市計画、開発・建築申請。

日本の感覚で「役所」とひとまとめにすると、窓口を間違えやすくなります。オーストラリアでは、まず全国の問題か、州の問題か、地域の問題かを考えると、担当機関を見つけやすくなります。

連邦制とは?日本との根本的な違い

オーストラリアの州は、日本の県と何が違うのでしょうか?
州には独自の議会と政府があり、連邦憲法が連邦へ与えていない多くの権限を持っています。日本の県より、国に近い性格があります。

1901年に6つの植民地が連邦を形成

現在のオーストラリア連邦は、1901年にニューサウスウェールズ、ビクトリア、クイーンズランド、南オーストラリア、西オーストラリア、タスマニアの6つの植民地が連邦を結成して成立しました。

それぞれの地域には、連邦成立前から議会と政府がありました。連邦政府が州を一から作ったのではなく、先に存在した州が一定の権限を連邦へ渡して、一つの国を作ったという順序です。

この成り立ちが、日本の中央政府と都道府県の関係との大きな違いです。

憲法による権限分担

オーストラリア憲法は、連邦議会が法律を作れる分野を定めています。国防、外国との関係、移民、通貨、州を越える貿易など、全国で統一する必要がある分野が中心です。

憲法が連邦へ与えていない権限は、原則として州に残ります。警察、公立学校、公立病院、州内交通、土地利用などが州の中心的な仕事となるのは、このためです。

連邦と州の双方が法律を作れる分野で内容が矛盾した場合は、憲法第109条により、矛盾する範囲で連邦法が優先されます。

州と準州は同じではない

オーストラリアには6州と、主要な自治準州であるオーストラリア首都特別地域(ACT)、ノーザンテリトリー(NT)があります。

州の権限は連邦憲法上の地位に基づきます。一方、準州の自治権は連邦議会が制定した法律に基づいており、連邦議会は憲法第122条により準州について広い立法権を持ちます。

日常生活では州と準州の政府はよく似たサービスを提供しますが、憲法上の位置付けは同じではありません。

比較準州
6州主要な自治準州はACTとNT
法的な基盤連邦憲法に地位がある連邦法に基づく自治
政府の長PremierChief Minister
主なサービス警察、学校、病院、交通など州とほぼ同様のサービス
連邦との関係州固有の憲法上の権限連邦議会の権限がより強い

連邦政府の役割

連邦議会と政府の仕組み

連邦議会はキャンベラにあり、国王、上院(Senate)、下院(House of Representatives)の3つの部分で構成されます。国王はオーストラリアでは総督が代表します。

下院は人口を基礎とした選挙区から議員を選び、政府を作る院です。上院は州を単位とした代表という連邦制の性格を持ち、法律案を審議し、政府を監視します。

選挙後、下院の過半数の支持を得た政党または連立政党が政府を形成し、その議会内の指導者が首相となります。

連邦政府が担当する主な分野

分野具体例
外交・国防外国政府との関係、条約、国防軍、国家安全保障。
移民・国籍ビザ、永住権、市民権、出入国管理。
税と通貨所得税、法人税、GSTの管理、豪ドル、中央銀行制度。
社会保障年金、失業・家族関連給付、Centrelink、Services Australia。
医療制度Medicare、医薬品給付、州への医療資金、全国的な保健政策。
通信・郵便通信制度、放送制度、全国的な郵便制度。
全国的な法律会社法、競争政策、家族法、州を越える商取引など。

実際の行政窓口では、オーストラリア税務局(ATO)、内務省、Services Australia、Medicare、Centrelinkなどが連邦政府の機関です。

首相は国民が直接選ぶのではない

日本と同じく、オーストラリアでも有権者が首相の名前へ直接投票するわけではありません。有権者は自分の選挙区の下院議員などを選びます。

下院で政府を形成できる政党または連立政党のリーダーが、慣例により総督から首相に任命されます。政党が任期途中で党首を交代すれば、総選挙を行わずに首相が交代することもあります。

国王と総督の位置付け

オーストラリアは立憲君主国で、国王が国家元首です。オーストラリア国内では総督が国王を代表します。

総督は首相の任命、議会の開会、法律への裁可、閣僚の任命など、憲法上の職務を行います。通常は、選挙結果と議会の信任、首相や閣僚の助言、確立した慣例に従って行動します。

FederalとCommonwealthは、ほぼ同じ意味

Federal Government、Australian Government、Commonwealth Governmentは、文脈によっていずれも連邦政府を指します。法律や古い書類ではCommonwealthという表現をよく見かけます。

州・準州政府の役割

シドニーで運転免許証を取る場合、連邦政府へ申請しますか?
運転免許証と車両登録は州政府の仕事です。シドニーならニューサウスウェールズ州の制度に従います。

州議会と州政府

各州には独自の憲法、議会、政府、裁判制度があります。州議会が州法を作り、州政府が政策と行政サービスを実施します。

多くの州議会は上院と下院の二院制ですが、クイーンズランド州は一院制です。ACTとノーザンテリトリーの立法議会も一院制です。

州の行政機関名は州ごとに異なります。同じ運転免許や公共交通でも、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、クイーンズランド州では担当機関、料金、法律、手続きが違います。

州政府が担当する主な分野

分野具体例
警察・司法州警察、刑事司法、州裁判所、刑務所。
医療公立病院、救急車、地域保健サービス。
教育公立小中高校、教員、学校運営、州の教育課程。
交通鉄道、路線バス、フェリー、主要道路、交通規則。
免許・登録運転免許証、車両登録、出生・死亡・婚姻証明。
土地・住宅土地登記、賃貸住宅法、公営住宅、州の都市計画。
消防・防災消防、救急、山火事対応、災害対策の指揮。
環境・資源州立国立公園、水資源、鉱業、州内の環境規制。

PremierとChief Minister

州政府の長はPremierと呼ばれます。日本語では「州首相」または「州知事」と訳されることがありますが、制度上は議会多数派の指導者であり、日本の公選知事とは異なります。

準州政府の長はChief Ministerです。州のPremierと同じく、立法議会で政府を率います。

州では国王をGovernorが代表します。州政府の実際の政策運営は、Premierと州の閣僚が担います。

ACTにはカウンシルがない

キャンベラを含むACTは、州・準州レベルと地方自治体レベルの仕事をACT政府がまとめて担当します。

そのため、キャンベラにはシドニー市やメルボルン市のような独立したカウンシルがありません。ごみ収集、公園、地域道路、都市サービスもACT政府の担当です。

「オーストラリア全土で同じ」と思い込まないことが大切です。交通規則、免許、賃貸住宅、酒類販売、祝日、学校制度などは州・準州ごとに違いがあります。

カウンシルの役割

City、Shire、Regional Councilの違い

オーストラリアには500を超える地方自治体があり、一般にCouncilと呼ばれます。行政区域はLocal Government Area、略してLGAです。

名称にはCity Council、Shire Council、Regional Council、Municipal Council、Borough Councilなどがあります。Cityだから必ず大都市、Shireだから必ず小さな町というわけではなく、名称は州の制度と地域の歴史によって決まります。

例えば、City of Sydneyはシドニー都市圏全体ではなく、中心部を担当する一つのカウンシルです。シドニー都市圏には多数のLGAがあり、それぞれ別のカウンシルがごみ、駐車、図書館、開発申請などを担当しています。

カウンシルが担当する主な仕事

分野具体例
ごみとリサイクル家庭ごみ、資源ごみ、粗大ごみ、回収日、廃棄施設。
地域の道路生活道路、歩道、自転車道、街灯、道路補修。
公園・施設公園、遊び場、スポーツ場、プール、コミュニティセンター。
図書館地域図書館、学習スペース、地域イベント。
ペット犬・猫の登録、放し飼い規制、ドッグパーク、迷子動物。
駐車路上駐車規則、住民用駐車許可、カウンシルの駐車違反。
計画・建築土地利用、開発申請、増改築、用途変更、建築基準の運用。
飲食・衛生飲食店の衛生確認、屋外営業、市場、地域営業許可。
地域サービス子育て、高齢者、文化活動、地域助成、イベント。

実際の担当範囲は州法と各カウンシルによって異なります。上下水道をカウンシルが担当する地域もあれば、州政府系の水道事業者が担当する都市もあります。

市長、議員、CEOの役割

Councillorは住民に選ばれ、予算、地域計画、サービス方針などをカウンシルの会議で決定します。MayorまたはLord Mayorは、カウンシルの代表、会議の議長、地域のスポークスパーソンとして活動します。

市長の選び方は州とカウンシルによって異なります。住民が直接選ぶ地域もあれば、選挙後にカウンシラー同士で市長を選ぶ地域もあります。

日々の行政を管理するのは、CEOやGeneral Managerと呼ばれる職員です。日本の市長のように、市長が行政組織を直接指揮する仕組みとは限りません。

Council Ratesとは?

Council Ratesは、カウンシルが不動産所有者へ課す地方税・負担金です。土地や不動産の評価、地域の制度、サービス料金などを基に計算されます。

日本の住民税のように、地域のすべての居住者が所得に応じて直接払う税ではありません。賃貸住宅では通常、物件所有者がRatesを払い、その費用は家賃設定へ間接的に反映されます。

ごみ処理、上下水道、特別事業などが別項目で請求されることもあります。カウンシルはRatesのほか、申請料、施設利用料、駐車料金、罰金、州・連邦からの補助金などでサービスを運営します。

複数の政府が関わる分野

「担当はどこか」という質問に、一つの政府名だけでは答えられない分野があります。制度設計、資金、施設運営、現場対応を別々の政府が担うためです。

医療

連邦政府はMedicare、医薬品給付、全国的な保健政策、州への資金提供などを担当します。州・準州政府は公立病院、救急車、地域の保健サービスを運営します。

GPなどの診療所は民間事業者であることが多いものの、Medicareの支払い制度は連邦政府に関係します。公立病院の運営や救急車料金は州・準州ごとに異なります。

教育

公立学校の設置、教員採用、日々の学校運営は州・準州政府が中心です。連邦政府は学校や大学への資金提供、全国的な政策、学生向けの支援制度などに関わります。

学校の学期、入学年齢、修了資格は州ごとに違います。全国で共通する枠組みがあっても、細かな運用は同じではありません。

道路と公共交通

連邦政府は国土全体に関わる道路や大型インフラへ資金を提供します。州政府は高速道路、主要幹線道路、鉄道、都市バス、フェリーなどを担当します。

住宅街の道路、歩道、地域の自転車道はカウンシルの担当となることが一般的です。同じ道路工事でも、道路の管理者によって問い合わせ先が変わります。

災害と緊急対応

山火事、洪水、サイクロンなどの緊急管理は、州・準州政府が中心的な責任を持ちます。消防、警察、救急、州の緊急サービスが現場対応を行います。

連邦政府は国防軍の支援、全国的な調整、復旧資金などで関わります。カウンシルは避難所、地域情報、道路、ごみ、被災後の地域復旧などを支えます。

分野連邦州・準州カウンシル
医療Medicare、薬、資金公立病院、救急車地域保健活動の一部
教育資金、全国政策公立学校、教員図書館、地域学習
道路大型事業の資金高速・主要道路地域道路、歩道
防災全国支援、復旧資金現場指揮、消防、警察地域避難、復旧支援
住宅税制、全国政策、資金賃貸法、公営住宅、計画開発・建築申請

税金と財源の分担

州政府やカウンシルも、所得税を徴収するのでしょうか?
現在の個人所得税は連邦政府が徴収します。州は給与税や印紙税、土地税、カウンシルはRatesや手数料を主な独自財源とします。

オーストラリアでは、支出の責任と税収の集まり方が一致していません。連邦政府に大きな税収が集まり、州やカウンシルへ補助金や配分を行う仕組みがあります。

ATOは個人所得税、法人税、GSTなどを管理します。GSTは連邦が徴収・管理しますが、州・準州の重要な財源として配分されます。

州・準州は、給与税、土地税、不動産取引などの印紙税、自動車登録料、各種免許料などを徴収します。税目と税率は州ごとに異なります。

カウンシルはCouncil Rates、開発申請料、施設利用料、駐車料金、罰金などを徴収し、さらに連邦・州政府から補助金を受けます。

行政レベル主な収入主な支出
連邦政府所得税、法人税、GST、物品税、関税など社会保障、Medicare、国防、移民、州への交付・補助。
州・準州政府給与税、土地税、印紙税、免許・登録料、連邦からの資金病院、学校、警察、交通、道路、消防、刑務所。
カウンシルRates、申請料、利用料、駐車、補助金ごみ、地域道路、公園、図書館、地域施設、計画行政。

財政力の差を調整する仕組み

人口、税収、地理、サービス提供の費用は州や地域によって大きく異なります。そのため、連邦から州へのGST配分や補助金、連邦・州からカウンシルへの交付金によって、行政サービスの格差を調整します。

政府間で「誰が払うか」が争点になる

政策の責任が重なる分野では、連邦が制度を決め、州が実施することがあります。新しいサービスを始めても財源が十分に移らない場合、政府間で費用負担をめぐる議論が起きます。

オーストラリアと日本の行政制度を比較

日本は連邦国家ではなく、全国に一つの主権と法体系を持つ単一国家です。憲法と地方自治法の下で、都道府県と市区町村が地方自治を行います。

日本の地方自治体にも条例制定権があり、知事、市区町村長、地方議会議員は住民が直接選挙します。しかし、都道府県が国と並ぶ独自の立法主権を持つわけではありません。

オーストラリアの州は、連邦成立前から存在し、独自の議会、政府、州法を持ちます。そのため「州=県」と訳すだけでは、州の強い権限が伝わりにくくなります。

比較項目オーストラリア日本
国家の形連邦国家単一国家
中央と地域憲法で連邦と州の権限を分担国の法律の下で地方自治を実施
広域政府州・準州都道府県
基礎自治体カウンシル市区町村
州・県の長Premierは議会多数派の指導者知事は住民が直接選挙
市長直接選挙または議員による選出住民が直接選挙
地方議会州議会は州法を制定。カウンシルは地域のby-law等を制定地方議会が条例を制定
警察主に州・準州警察都道府県警察。制度・監督は全国的枠組み
運転免許州・準州ごと全国共通の法律を都道府県公安委員会が運用
住民登録日本の住民票に相当する全国一律の制度はない市区町村が住民票・戸籍を扱う
地方税州税とCouncil Rates都道府県税、市町村税

日本の「二元代表制」とオーストラリアの議院内閣型

日本の都道府県知事と市区町村長は住民が直接選び、地方議会とは別の民意を基礎に行政を執行します。これを二元代表制と呼びます。

オーストラリアの連邦・州政府は、議会の多数派から首相や州首相が生まれる議院内閣型です。カウンシルでは市長の選出方法が地域で異なり、行政職員のトップであるCEOやGeneral Managerが日常業務を管理します。

日本の市役所より仕事が限定されるカウンシル

カウンシルは住民票、戸籍、国民年金、国民健康保険、パスポート申請などをまとめて扱う窓口ではありません。

出生・死亡・婚姻証明は州政府、税はATOや州税務当局、Medicareは連邦、運転免許は州、地域ごみはカウンシルというように、窓口が分散しています。

「州政府」と「カウンシル」を混同しない

シドニー市役所に運転免許証や出生証明書を申請することはできません。反対に、ニューサウスウェールズ州政府へ家庭ごみの回収日を問い合わせても、通常は居住地のカウンシルへ案内されます。

どの政府へ問い合わせる?

オーストラリアで生活や旅行中に必要になりやすい手続きを、担当レベル別にまとめました。実際の窓口名は州や地域によって異なります。

用件担当レベル問い合わせ先の例
ビザ、永住権、市民権連邦Department of Home Affairs
所得税、TFN、ABN、GST連邦Australian Taxation Office
Medicare、Centrelink連邦Services Australia
オーストラリアのパスポート連邦Australian Passport Office
運転免許証、車両登録州・準州Service NSW、VicRoadsなど
警察への届出州・準州各州・準州警察
公立病院、救急車州・準州州保健省、州救急サービス
出生・死亡・婚姻証明書州・準州Registry of Births, Deaths and Marriages
賃貸住宅の権利・紛争州・準州州のFair Trading、Consumer Affairs等
公共交通の運賃・時刻州・準州州の交通局
家庭ごみ、粗大ごみカウンシル居住地のCouncil
犬・猫の登録主にカウンシル居住地のCouncil
住民用駐車許可カウンシル居住地のCouncil
増改築、開発申請主にカウンシルPlanning/Development担当
図書館、公園、地域施設カウンシル居住地のCouncil

住所からカウンシルを確認する

都市名とカウンシル名が一致するとは限りません。郵便住所にSydney、Melbourne、Brisbaneと書かれていても、実際の地方自治体は別のCity CouncilやShire Councilという場合があります。

州政府または地方自治体協会のLGA検索、住所検索を使い、自宅や宿泊施設を担当するカウンシルを確認してください。

政府サイトはドメインで見分ける

連邦政府の多くは「.gov.au」、州政府は「nsw.gov.au」「vic.gov.au」「qld.gov.au」など、カウンシルは独自の「.nsw.gov.au」「.vic.gov.au」等のドメインを使用します。

罰金、ビザ、税金、免許の手続きでは、広告として表示される民間代行サイトではなく、担当政府の公式サイトかどうかを確認してください。

緊急時は行政レベルを考える前に000

生命や財産に差し迫った危険がある場合は、警察・消防・救急の緊急番号000へ連絡します。緊急ではない警察相談、停電、道路の穴、ごみの問題などは、それぞれの非緊急窓口を利用します。

覚えておきたい行政用語

英語日本語の目安意味・注意点
Federal / Commonwealth連邦オーストラリア全体の政府・法律。
State独自の議会・政府・法律を持つ。日本の県より権限が強い。
Territory準州・特別地域州に近い自治政府を持つが、憲法上の地位は異なる。
Local Government地方自治体州法に基づいて設置されるカウンシル。
Council地方議会・自治体議決機関と行政組織の両方を指すことがある。
LGA地方自治区域Local Government Areaの略。
Councillor地方議員地域住民に選ばれるカウンシルの議員。
Mayor / Lord Mayor市長選出方法と権限は州・カウンシルで異なる。
Premier州首相州政府の長。議会多数派のリーダー。
Chief Minister準州首相ACT・NT政府の長。
Governor州総督州における国王の代表。
Governor-General連邦総督連邦レベルで国王を代表。
By-law / Local law地域規則カウンシルが州法の範囲内で定める地域ルール。
Rates不動産に対する地方税等主に不動産所有者がカウンシルへ支払う。
Development Application開発申請建築、増改築、用途変更などの申請。

GovernmentとParliamentは同じではない

Parliamentは法律を審議・制定し、政府を監視する議会です。Governmentは、首相や州首相、閣僚を中心に、政策を実行する行政府を指します。

日本語では両方を「政府」と捉えやすいのですが、ニュースを読む時は「議会で法案が可決された」のか、「政府が政策を発表した」のかを分けて考えます。

National Parkの管理者も確認

National Parkという名称でも、すべて連邦政府が管理しているわけではありません。多くの国立公園は州・準州政府が管理し、連邦政府が直接管理する公園もあります。

入園料、キャンプ、道路、閉鎖情報は、該当する公園の管理機関を確認してください。

オーストラリアの行政制度に関するよくある質問(FAQ)

オーストラリアには何段階の政府がありますか?

一般には、連邦政府、州・準州政府、地方自治体であるカウンシルの3段階と説明されます。

連邦政府は全国的な問題、州・準州政府は各州・準州のサービス、カウンシルは地域住民に近いサービスを担当します。

ただし、カウンシルは連邦憲法が直接設置している政府ではなく、各州・準州の法律に基づいて設置されます。

ACTは例外で、ACT政府が州・準州レベルとカウンシルレベルの仕事をまとめて担当します。

オーストラリアの州は、日本の都道府県と同じですか?

同じではありません。

オーストラリアの州は、独自の議会、政府、州法、裁判制度を持ち、連邦憲法が連邦へ与えていない多くの権限を保持しています。

日本の都道府県にも自治権と条例制定権がありますが、日本は単一国家であり、全国の法律の下で地方自治を行います。

オーストラリアの州を理解する時は、日本の県よりも独立性の強い広域政府と考える方が実態に近いでしょう。

首相や州首相は、国民・州民が直接選ぶのですか?

直接選挙ではありません。

連邦選挙では有権者が下院議員などを選び、下院の過半数の支持を得た政党または連立政党が政府を形成します。そのリーダーが首相となります。

州でも、通常は下院または一院制議会で多数の支持を得た政党のリーダーがPremierとなります。

日本の都道府県知事のように、州民がPremierの名前へ直接投票する制度ではありません。

カウンシルは日本の市役所と同じですか?

地域住民に近い行政機関という点は似ていますが、担当業務はかなり異なります。

カウンシルは、ごみ収集、地域道路、公園、図書館、ペット登録、駐車、都市計画、開発申請などを担当します。

日本の市役所が扱う戸籍、住民票、国民健康保険、国民年金などに相当する業務を、一つのカウンシル窓口がまとめて扱うわけではありません。

出生・婚姻証明は州、Medicareは連邦、運転免許は州というように、手続き先が分かれています。

警察、消防、救急車はどの政府の担当ですか?

警察、消防、救急車は、主に州・準州政府の担当です。

州・準州ごとに警察組織、消防組織、救急サービスがあり、料金や運営方法にも違いがあります。

山火事、洪水、サイクロンなどでは州・準州政府が現場対応の中心となり、連邦政府とカウンシルが支援します。

生命や財産に差し迫った危険がある場合は、担当レベルを考える前に000へ電話してください。

所得税、州税、Council Ratesは誰が徴収しますか?

個人所得税、法人税、GSTなどは、連邦政府のATOが管理します。

州・準州政府は、給与税、土地税、不動産取引の印紙税、自動車登録料などを徴収します。

カウンシルは、不動産所有者からCouncil Ratesを徴収し、申請料、施設利用料、駐車料金なども収入とします。

Council Ratesは、日本の個人住民税と同じ仕組みではなく、主に不動産に対する地方税・負担金です。

オーストラリアの市長は、住民が直接選びますか?

州とカウンシルによって異なります。

住民がMayorやLord Mayorを直接選挙する地域もあれば、住民が選んだCouncillorの中から、議員同士で市長を選ぶ地域もあります。

市長の任期、権限、選出方法も全国一律ではありません。

カウンシルの日常行政は、CEOやGeneral Managerと呼ばれる専門職員が管理することが一般的です。

どのカウンシルに住んでいるか、どう確認できますか?

州政府や地方自治体協会が提供する住所検索、LGA検索を利用します。

郵便住所の都市名と、実際に担当するカウンシル名が一致しないことは珍しくありません。

ごみ収集日、ペット登録、住民用駐車許可、図書館、開発申請などは、住所を担当するカウンシルの公式サイトで確認してください。

賃貸物件の場合は、賃貸契約書、Council Rates Notice、州政府の地図サービスから確認できることもあります。

まとめ

オーストラリアの行政は、連邦政府、州・準州政府、カウンシルの3段階に分かれています。連邦は国防、外交、移民、税、社会保障など全国的な問題、州は警察、病院、学校、交通、免許など、カウンシルはごみ、公園、地域道路、ペット、駐車、開発申請などを担当します。

日本の国・都道府県・市区町村と形は似ていますが、オーストラリアの州は独自の議会と法律を持つ強い広域政府です。一方、カウンシルは日本の市役所ほど幅広い住民手続きを扱いません。

オーストラリアで行政窓口を探す時は、用件が全国、州、地域のどの範囲に関わるかを考えます。医療、教育、道路、防災のように役割が重なる場合は、制度を作る政府と現場を運営する政府が異なることも覚えておきましょう。

オーストラリア行政制度の参考情報

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